ネスレ・ピュリナのデジタルトランスフォーメーションにおけるSpotの活用事例

ネスレ・ピュリナ(NestléPurina)は、包装ラインの熱検査や音響検査を自動化するためにSpotを導入しました。自律的な検査により、保全技術者の作業時間を確保し、修理の予測や計画をより適切に行い、安定した操業を実現することができます。Spotが同社の工場になぜ最適だったのか、そして今後どのようにSpotを活用して拡大していくのかをこの記事では紹介していきます。
「Spotの活用によって人手を機械の検査から開放することができ、尚且つ、Spotが生産ラインの切り替えや異なる製造工程の合間に問題を検出できれば、私たちはそれらの問題を事前に発見することができます。これにより、事後対応ではなく、より予測的かつ予防的なアプローチを取ることが可能になります。」
– スコット・スミス(メンテナンス電気技師、ネスレ・ピュリナ・ペットケア)
導入背景
アリッサ・カーター (シニア・スペシャリスト・ロボティクス・エンジニアリング)「Spotは単なる熱・音響検査のためのツールではなく、より幅広い用途に活用できると考えています。ボストン・ダイナミクスと協力しながら、Spotをさらに有効活用する方法を模索しているところです。」
ロジャー・ブレヒト (デジタル・マニュファクチャリング担当副社長)「私はネスレ・ピュリナ・ペットケアのデジタル・マニュファクチャリングの副社長を務めています。この役職について約2年が経ち、デジタルトランスフォーメーションを主導する役割を担っています。我々の目標は、栄養バランスが取れた安全で健康的なペットフードを世界中の犬や猫に提供することです。音響検査で圧縮空気の漏れを検知するユースケースにはもちろん価値を見出していましたが、それ以上に、予測保全を超えた未来の可能性があると考え、Spotの導入を決めました。」
広範囲をカバーする
カーター: 「Spotがこの用途に選ばれた理由は、私たちの工場環境にあります。」
スコット・スミス(メンテナンス電気技師): 「Spotは狭い場所でも作業できるため、人間がかがんだり体をひねったりする負担を軽減できます。また、Spotは充電をすれば、何度でも繰り返し作業を続けられます。」
カーター: 「私たちの工場は非常に独特で、検査が必要な場所へ行くための階段が多くあります。また、すべての検査対象にIoTデバイスを設置するのは膨大なコストがかかります。そのため、Spotを活用することで、既存のIoTデバイスではカバーしきれないエリアを網羅できると考えました。大きな課題があるというより、細かい改善の余地がたくさんある環境だといえるのです。」
ブレヒト: 「私たちのビジョンは、Spotを工場の自律的な要素として取り込み、人間と協力しながら、過去3、40年にわたり手作業で行ってきた負担の大きい作業を自動化することです。」
保守点検の自動化
カーター: 「検査の自動化は私たちにとって大きな意味を持ちます。Spotが予防保全技術者の作業をより効率的にするのです。」
スミス: 「Spotの導入によって作業者の負担を減らし、より多くの技術者を現場に配置できるようになります。Spotが熱検査や空気漏れの検査を行うことで、作業者はより重要な業務に集中できるのです。その結果、より良い製品を提供でき、会社全体のパフォーマンス向上につながります。」
カーター: 「Spotは予防保全活動に適しています。なぜなら、工場では日々さまざまな業務があり、予防保全のルーチンワークをこなすには人手が足りず、凡庸な作業であるからです。しかし、Spotがいれば、そのような単調で人がするまでもない作業を自動化できます。
ブレヒト: 「私たちは非重要設備の熱検査と圧縮空気漏れ検査を行っています。現在、それらを合わせて30以上のミッションでSpotが運用されています。」
スミス: 「Spotは一時間ごとに稼働し、モーターやベルハウジング、ギアボックスの熱検査、空気漏れの検査をこなします。
カーター: 「導入初期に大きな発見がありました。乾燥機の上にあるモーターの発熱が見つかったんです。すぐに「Orbit」に記録された画像を予防保全技術者に送信しました。」
スミス: 「Spotの活用によって人手を確保できるという点で言えば、Spotが生産ラインの切り替えや異なる生産工程の合間に問題を発見してくれれば、事前に異常を察知できるようになります。そうすることで、従来のような事後対応ではなく、より予測的かつ予防的な対応が可能になるのです。」
Spotのさらなる活用へ
カーター: 「現在、Spotの適用範囲を加工エリアや包装ラインへと拡大しています。そして今日もマッピング作業中に空気漏れを発見しました。このようなことがあるたびに、Spotは自分の仕事をしっかり果たしているのだとちょっとした興奮を覚えます。」
ブレヒト: 「現在、東海岸の工場にもSpotを導入する準備を進めています。最終的には、北米にある20箇所以上の工場すべてにSpotを配備する計画です。まずは予測保全からですが、3〜5年後には、Spotが空気漏れの検査や熱検査だけでなく、さまざまな業務を担うようになるでしょう。我々はすでにボストン・ダイナミクス社と多くのユースケースについて共有しており、今後の展開を心待ちにしているのです。」